苦節、何年だ? ようやく発売です!当初予定より数日ずれました、ごめんなさい。
発売日は、ちょっと本屋さんに様子を見に行こうと目論見中です。物陰から書棚を見守る怪しい人物は、横浜周辺であれば多分私だ。
さて、この虚無仮説ですが、邦題決めるにあたっては、いろいろ苦労がありました。
まず、台湾でのタイトル「虚無假設」。台湾での一目惚れ、その時この本は棚に刺さっていたので背表紙しか見えなかった。背表紙にはキャラの顔とかはぜんぜん入っていないので、つまりはほんとにタイトル一発胸にズドンという感じだった。というわけなので、邦題にも「虚無假設」という言葉は入れたかったのです。
仮説の元になっているデータが単なる偶然であると証明することで否定されるべき仮説、というわかるようなわからんようなこの仮説、日本語では「虚無仮説」という言葉は一般的でなく「帰無仮説」が一般的。ただ、一目惚れのときにインパクトがあったのは「虚無」の方だった。
ということを散々主張し頑張って主張しまくり、最終的に非常にとっつきの悪い単語ながらも「虚無仮説」は邦題に組み込まれることになったのですが、しかしここで問題が。もうちょいわかりやすいタイトルをもう一個付けてフォローせにゃならんという難問が。
やるんならカッコいいタイトルで行きたかったので、湯煙で温泉で女子大生と美人女将と死体と伝説が的な、てんこ盛り過ぎてそれはサブタイトルなんですか内容解説なんですかというものにはしたくなかったし、こういう攻めとこういう受けのカップリングですというタイトルにもしたくなかった。要は「トラウマ捜査官とオレ様上司」みたいなタイトルは嫌だったんですが、かくして必然的に、内容一言でずばり的な、それでいてスタイリッシュな、という更なる窮地にずるずると嵌まっていく。
しかも、なんとなーくどっかで聞いたようなタイトル、どっかで聞いたような組み合わせ、とかになっていくんだ。で、なお且つ内容から連想される単語が割と被るんだ。沈黙、とか。
そろそろ決まらないとまずいです! そうですよね(涙)という会話をしつつ、次々出て行く候補の群れ。どっか気に入らない候補の群れ。
平行して翻訳の手直しを進めていた時に、「自分をコントロールできなくなっている」という一文がふっと気に止まり、振り向いたら一枚のCDが目に飛び込んだ。ファクトリーレコードの歴史を描いた半分ドキュメントみたいなとある映画のサントラが。それで、提案したんです。
「ヒーズ・ロスト・コントロール」はどうでしょう? と。
そしたら、いいですね、という声が! 電話の向こうの声の弾みっぷりが違っていました。
タイトル。どっかで聞いたようなタイトルを一言も後書きとかで言及せずに使ってる作品て、あまり読む気になれない。それも、誰もが知ってるものならパロったんだな、で済むけど、まだそこまで市民権を得ていないというか、一部の人は知っている、的なものだと、なんとなくその作者の人格まで疑いたくなってしまう。同人誌ならともかく、商業誌だとね。
そんなわけなんで、ここにとりあえず書いておきます。虚無仮説の邦題「ロスト・コントロール」はジョイ・ディヴィジョンの「シーズ・ロスト・コントロール」から取りました。
TMNではありません。
こんにちは!
返信削除ロスト・コントロールを購入し、あとがきからこちらのサイトにたどり着きました。
感謝の気持ちを伝えたくてコメントしました。
私自身は台湾人で、蒔舞さんの大ファンです。いつもいつも、中国語で書かれているすてきな作品を日本人の方々にも読んでもらいたいと思っていました。しかし自分は日本にいながらも、大したこともできずただの考え事に留まっていました。
この作品の出版、そして同じ思いを持っている方がいてその思いを行動で示したことを本当に嬉しく思っています。
虚無仮説、というタイトルに疑問を持っていましたが、文章を拝見して納得しました。たしかに帰無よりも虚無のほうが、文字的にインパクトありますね!
これからの作品も、期待して応援していきたいと思います。
本当に、ありがとうございます。
真謝謝。蒙受那樣感想、我非常高興!!
削除購入時期、早いですね! 横浜は月曜日に入荷でした。
もっともっと色々な作品をぜひ日本に紹介していきたいです。蒔舞さんの小説は心情描写が繊細で大好きなんです。あと、台湾BLには珍しく具体地名がいろいろ出てくるのが楽しいですね。聖地巡礼できそう!
今回はLAが舞台ですが、大好きな台湾の日常生活が垣間見える本も絶対訳したいと思っています。
現在は二巻の追い込み中。頑張ります!!
在這裡、今後我也準備介紹關于台湾的小消息。請看看、還有、如果知道對稿裡我疑問的解答、請告訴我!