2013年11月17日日曜日

割と紳士な台湾タクシー。ただし、時には例外も。 


 台湾のタクシー料金は、とってもリーズナブル。

 地下鉄にあたるMRTで二駅分くらいの距離なら大体170元、日本円で500円くらい。山手線一駅分の距離がこのお値段なので、市内観光時は割と気軽に乗ろうという気分になる。

 特に2009年の最初の旅行の時は、泊まったホテル(慶泰大飯店)の傍にまだMRTができていなかったので(絶賛工事中で、ほこりが立つため大量の水が撒かれ、なんだか道路が洪水していた。ダイナミック!)、近くの駅までちょっと距離があり、このため急いでいるときにはよくタクシーを使っていた。

 もっともこの道、割と商店街なので閉店後の夜とか開店前の朝でもウィンドウショッピングがそれなりに楽しく、旅行後半は結構歩いていたのだが。

 そんなタクシーの運転手さんは、けっこうフレンドリーだ。日本語勉強中の人とかもいる。そしてとっても親切だ。

 最初の内は、タクシー=ホテルの入口で待機している車に、ドアマンさんが案内してくれる、だったので、だから割と親切な人しかいないシステムになっているのかな、と思ったりもした。

 つまりは、ホテルの入口に待機していて、ホテルのお客さんが乗る⇒なんかあったら、お客さんからホテルに苦情がいく⇒そのホテルの前での待機をお断りされる、みたいなことなんだが。

 ちなみにこの頃使ったルートは、ホテルから雙連駅、ホテルから光華商場、ホテルから永康街、だ。どの運転手さんも、なるべく目的地にスムーズに入れるところにぴたーっと着けてくれる。特に、光華商場。表側がバイクにふさがれて車が着けられなかったため、頑張って裏側に車を回してくれた。

 そして、どこで乗っても流しのタクシーの運転手さんもみんな親切だ。

 なんとなくだけど、タクシーの運転手さんは割と年輩のおじさまが多い気がする。そのせいなのか、バスの運転手さんほどイケイケなムードでなく、紳士な感じだ。

 しかし、一人だけ、例外がいた(笑)。

 それは旅行三日目の昼、というか午後。
 この日のわしらはわけあって朝というにはちょい遅い時刻にホテルを出、台北駅からちょい南西にある重慶路をぶらぶらしていた。割と昔からある通りなので、レトロな建物や老舗のお茶屋さん、更に南下すればカメラ街、更に南下すれば~とブロックごとにいろんなタイプのお店が固まっていて楽しい。

 私の目的だった中華風ボタンを購入し、お腹が空いたので餃子屋さんに転がり込んで水餃子と空芯菜炒めをぱくつきながらこの後の予定を相談し、101に行くことになった。

 希望としてはこのまま二二八記念館にいきたかったのだが、それをした場合、私が何時間そこに張り付くかわからない(苦笑)。というわけで、101に行くことにし、駅からはちょっと距離もあったので、潔くタクシーで市内を横断することにする。

 タクシー、と手を上げると、あいよっ、と一台が滑り込んできた。しかし、私はその瞬間固まった。

 黄色い車体のあっちこっちに泥飛沫。がりがり擦った跡が黒く残っている。ついでにへこんでいるじゃないか。

 ガイドブックに載っていた、こういうタクシーはやばいですよという特徴の、全てが備わっているタクシー(泣)。

 そしてそこで、「あっ、ごめんなさい、やっぱいいわー」と笑顔で乗車拒否できないのが日本人なんだよ!!

 いやもう、内心真っ青、電気椅子にでも座るような気分で乗り込みつつ、しかし、ここでビビった顔を見せてはならんと必死に笑顔をキープ。

 そして、これまではタクシーに乗るとき地図を見せて「我想去這裡」(ウォーシャンチュイジャーリ、私ここ行きたい)、と伝えてきたのだが、今ここでそれをやってはならんと私のゴーストが叫んでいた。

 腰を下ろすや否や、私は叫んだ「イーリンイーっ!」。

 オッケー、とタクシーが走り出す。悲しいことに、この旅行で一発で私の中国語が通じたのは、後にも先にもこれっきりだ。火事場の実力アップだろうか。

 ちなみにこの旅行時、私の発音は今に輪を掛け捲ってひどく、タクシーの運転手さん達に地図を見せながら実はこう言っていた。「我想吃這裡」(ウォーシャンチージャーリ、私ここ食べたい)、と。ある意味正しくはあったが。

 走り出した車内でも油断はできない。だって、ガイドブックに乗っていたやばいタクシーがするやばい行為、はへんなとこ走って走行量上げて高い金を取る、という手口。私は、一度京都でこれをやられたことがある。三十分幾らで契約して走ってもらったとき、わざわざ遠回りして次の時間に五分食い込ませ、もう三十分の料金取りやがったのだ。いたいけな修学旅行の高校生相手になんて真似しやがるか、ざっと二十年前の八坂タクシー!!!

 メーターがちゃんと動き出したのは確認した、ならば後はルートだ。

 地図を見ながら、あ、あそこに見えるのが◎◎だよ、もうじき××が見えるよ、と、明らかに日本語わからない感じの運転手のお兄ちゃん相手ではあるが、取りあえず、こっちゃあ道はちゃんとわかってんだぜ、妙なところ走ったらどうなるかわかってんだろな、このヤロ、なオーラ全開にあおやんにはしゃいでみせる。あおやんも、事情はわからないながら何かを察してくれているらしい。

 タクシーは、台北の街をひた走った。へんなところには行かなかった。むしろ、台北横断新記録でも作りたいのかという勢いで走っていた。この運転手の兄ちゃんはどうも、台北のサミー・ナセリだったらしい。

 空いてるバスレーンに飛び込んで走る兄ちゃんにむかついたらしく、バスの運転手が幅寄せしてくる。怖いよ!

 しかし兄ちゃんはものともしない。向こうはどうせバス停で停まるのだ。その間にどんどん距離を稼ぎ、また別なバスに幅寄せされ……。

 幸いにして、着いた瞬間ゲー、とはならなかった。途中からはこっちももう地図などそっちのけで暴走タクシーの旅を楽しんでいた。そして料金もぜんっぜんまとも。わしらは心からの笑顔で車を降り、兄ちゃんも笑顔で走り去っていった。

 疑ってごめん、兄ちゃん。


 初っ端がこれだったので、わしらはこの後は割と安心して流しのタクシーを利用した。この日の晩に重慶路からホテルまでと、翌日に雙連駅からホテルまで。

 どっちも紳士なおじさまだった。

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